解放同盟のタブー
【産経抄】10月25日
こんなばかげたことがあるものか。奈良市環境清美部に勤めていた42歳の男性が、過去5年間に8日しか出勤していないにもかかわらず、約2700万円もの給与が支払われていた。
▼しかもこの間、職員は部落解放同盟奈良市支部協議会の幹部として、しばしば市側との交渉の場に出ている。職員の親族の建設業者に、市の発注工事を受注させるよう働きかけまで行っていたという。市は何の理由があって、“見て見ぬふり”を続けてきたのか。あまりの公費天国ぶりに、奈良市民でなくても、ため息が出る。
▼福島県では、前知事の佐藤栄佐久容疑者(67)が汚職事件で逮捕された。40代以上の県民ならデジャビュ(既視感)にとらわれたかもしれない。30年前、2代前の木村守江元知事がやはり収賄容疑で逮捕されている。
▼ともに多選を誇り、周りをイエスマンでかため、議会がチェック機能を果たせなかったことなど共通点が多い。違いといえば、元知事が知事公舎で、地元建設業者などから直接わいろを受け取ったのに対して、「クリーン」が売り物の前知事は、札束に触れるどころか、業者と同席することさえ避けたことだ。
▼「汚れ役」を引き受けたのが、家業の衣料メーカーを継いだ実弟の祐二容疑者(63)だった。建設業者の窓口となり、談合を仕切り、今回は、県発注のダム工事を受注させた見返りに9億7000万円を受け取った疑いがもたれている。検察側は、衣料メーカーの筆頭株主でもある前知事に対するわいろだと認定した。
▼汚職の構造はかわらず、ただ手口だけが巧妙になっていく。「地方自治は民主政治の最良の学校」(J・ブライス『近代民主政治』)という言葉がある。反面教師もたくさんいるということか。
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