執拗な悪意 朝日伝聞
首相秘書ら朝日新聞社を提訴 記事・広告で名誉棄損
安倍晋三首相の公設秘書ら3人が9日、長崎市長銃撃事件に関係があるかのような記事や広告を掲載され名誉を傷つけられたとして、「週刊朝日」の編集長や発行元の朝日新聞社と記者を相手取り、謝罪広告の掲載と総額5159万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。 訴状では「週刊朝日」の記事や朝日新聞などに掲載された広告で、「安倍事務所の秘書らが長崎市長銃撃事件の容疑者が所属する暴力団から脅されていたとの事実に反する印象を強く与え、原告の社会的評価を著しく低下させた」と訴えている。 問題となったのは5月4・11日の合併号の記事と広告。首相側の抗議を受け、4月28日付の朝日新聞や「週刊朝日」5月18日号は「おわび」記事を掲載したが、訴状は「全く事実に反する誤った印象を再び強く読者に与え、原告の社会的評価を著しく低下させた」と指摘している。 安倍事務所は9日、「根拠が薄弱な記事でも、安倍首相に関することなら躊躇(ちゅうちょ)なく掲載するという判断が朝日新聞社内でまかり通っている事実に、極めて執拗(しつよう)な悪意と恐ろしさを感じる」とのコメントを発表。首相も同日夜、記者団に「全くの事実誤認で、捏造(ねつぞう)だと思う。(秘書)本人にとっても許せないと思うが、私も許せないと思っている」と述べた。 朝日新聞社広報部は「訴状が届き次第、内容をよく検討し対応を考えたい」としている。 ◇ 【用語解説】週刊朝日の記事とおわび記事 5月4・11日合併号で「山口組系水心会と安倍首相の『関係』を警察庁幹部が激白」と題する記事を掲載。幹部の証言として、警視庁が安倍首相サイドから、当時在籍していた秘書が右翼や暴力団に脅されているとの相談を受け、捜査の結果、水心会の関与を特定した-などと報じた。長崎市長銃撃事件の容疑者が同会に所属しており、朝日新聞は4月24日付の紙面で「長崎市長射殺事件と安倍首相秘書との『接点』」とする週刊朝日の広告を掲載。首相の抗議を受け、朝日新聞と週刊朝日は「当該記事は、首相の元秘書が市長銃撃事件の容疑者が所属する暴力団の組織の幹部などから脅されていたという証言を取材によって検証したものです」(5月18日号週刊朝日)などとするおわび記事を掲載した。 |
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