榊(さかき)は中国産??
【産経抄】
神棚に供えられる榊(さかき)の深緑は、太古の昔から自然と共生してきたこの国の原風景を思い起こさせる。安倍晋三首相が靖国神社に奉納した鉢植えの榊は5万円したそうだが、私費での奉納でさえ「憲法が定めた政教分離に違反する」と騒ぐ人たちがいる。
▼こういう人たちこそ連合国軍総司令部(GHQ)が押しつけた現憲法を一字一句たりとも修正させず、守り抜くことで平和を維持できると信じる「憲法教」の信者ではあるまいか。罪汚れなき榊こそいい迷惑なのだが、いま市場に流通している榊の大半は、憲法教信者のみなさんが大好きな中国産だという。
▼福岡市内で生花店を営む日野亮一さん(33)はあるとき、東京の花屋をみてまわって驚いた。店先に置かれていた榊のほとんどが中国産の「ヒサカキ」と呼ばれる榊の代用品だったのだ。
▼純国産榊の流通が激減したのはなぜか。地方の過疎化と山林の荒廃で榊の生育地が少なくなったのもさることながら、大量輸入で値段も安い中国産にコスト面で太刀打ちできないのが最大の理由だ。
▼「日本の神様には日本の榊をお供えしたい」と思い立った日野さんは、「日本榊本舗」の屋号で昨年からインターネットによる純国産榊の通販を始めた。反響は大きく、顧客の多くは東京など首都圏在住者だというが、「この仕事をやっている方は80歳代がほとんどなんです」と後継者難を危惧(きぐ)する。
▼大枚を払って榊を奉納した首相のことだから、超高齢化が進む山村の危機をどうやって食い止めるか真剣に対策を講じてくれることを期待したい。靖国の社に中国産の榊が奉納されるようになっては、英霊たちも浮かばれまい。もちろん、供物の奉納だけでなく、ご本人の参拝も忘れずに願いたい。
(2007/05/09 05:21)
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