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しょうがない・・と仕方ない・・どう違う

産経抄から

久間章生防衛相といえば、イラク戦争は間違いだったと発言した人物である。普天間基地の移設に関して、「アメリカは沖縄の声を聞かない」と批判もした。日米の同盟関係に波風を立てた“前科”がある。

 ▼まさか、その埋め合わせとして、米国政府のご機嫌を取ったわけではあるまいが。6月30日に行った講演のなかで、この長崎出身の閣僚は、米国による原爆投下について「しょうがない」と語った。

 ▼もっとも久間氏は、「原爆を落とすのを是認したように受け取られたのは残念だ」と記者団に弁明している。本当に「しょうがない」人ではあるが、いわゆる原爆投下容認論者ではないらしい。

 ▼たとえば、本島等元長崎市長は、「日本はアジアに謝罪する必要がある。原爆は仕方なかった」などと各地の講演会で説いたものだ。こうした考え方の原点をたどれば、広島市の平和記念公園にある原爆慰霊碑の碑文に行き着く。「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」。

 ▼雑賀忠義広島大学教授の考案によるこの碑文は、昭和27年の碑建立当時から、「主語」をめぐって論議を呼んできた。素直に読めば、原爆投下は、日本人に責任があるということになる。この碑文をありがたがる人たちに、久間発言を非難する資格はない。それにしても、広島と長崎になぜ原爆が投下されたのか。

 ▼英国駐在のころ、ロンドン大学の歴史学者に、日本が白人国家ではなかったから、との見方について問いただしたことがある。その学者は「原爆があと1年早く開発されていたら米国はドイツに投下していたはず」と否定した。それでも、小欄は疑念を捨てきれない。原爆投下の背景には、やはり人種差別思想があったのではないか、と。

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