逆効果だろう
チベット:中国、封じ込め強化 高僧に自制呼びかけさせ
【北京・浦松丈二】中国チベット自治区ラサで起きた暴動の拡大を警戒していた中国当局は、自治区外にも飛び火したことで、今後はさらに取り締まりを強化する方針だ。国内のチベット族は約541万人。当局は治安機関などによる抑止だけでなく、中国政府が認定した高位のチベット仏教の活仏(生き仏)に自制を呼びかけさせるなど、さまざまな手段で封じ込めに乗り出した。
チベット族はチベット自治区を中心に主に周辺の青海、甘粛、四川、雲南の各省に居住。イスラム系のウイグル族とともに海外に支援組織があり、聖職者が信者に大きな影響力を持っている。
中国政府が95年、チベット仏教第2の活仏パンチェン・ラマ11世に認定したギャインツァイン・ノルブ少年は16日、声明を発表し「ラサの騒乱が早く沈静化し、人民と仏教徒に平和と安定が戻ることを希望する」と呼びかけた。
インドに亡命中の最高位のダライ・ラマ14世は、中国政府に先立ち別の少年をパンチェン・ラマ11世に認定したが、中国政府が認めるチベット仏教界では、ノルブ少年が最高の権威を持っている。
政府公認の中国仏教協会チベット支部のダジャン・ダインズィン・グレグ副支部長も16日、「仏典も学ばず、仏法にも従わない少数の僧侶がダライ(ラマ14世)集団に同調している」と批判。仏教界要人によるダライ・ラマや暴動への非難キャンペーンが繰り広げられている。
しかし、チベット族の崇拝を集める高位活仏、カルマパ17世が00年1月、中国を脱出し、ダライ・ラマと行動を共にするなど中国政府公認のチベット仏教界も一枚岩ではない。
中国政府は00年から少数民族の多い西部地域の開発構想を具体化させるなど経済の底上げに力を入れ、社会安定と民族団結の推進に力を入れる。だが、チベット仏教に詳しい関係者は「中国国内のチベット寺院は中国政府の活動許可だけでなく、海外からの献金にも頼っている。中国政府による過度の帰順圧力は逆効果になる可能性がある」と指摘する。
毎日新聞 2008年3月17日 2時30分
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