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腹腹時計 抜粋

ゲリラ兵士は酒を飲まぬ。

酒は平常心を失わせ、羽目をはずし、油断を生じ易くする。

これは、ゲリラ兵士にとっての最大の敵である。

特に、何人か集っての酒盛りは厳禁である。

それは、合法左翼の専売特許であるべきだ。


               

腹腹時計VOL・1

http://share.dip.jp/hannichi/cm/h_vol1.html

第一編

    個人的準備=ゲリラ兵士としての配慮

 ゲリラ兵士は、あらゆる面で肥大化した都市機能、雑踏を最大限に活用し、
隠れみのとしなくてはならない。又、最大限の注意と配慮を講じなくてはな
らない。従って、ゲリラ兵士の出発の第一は、その条件を整えることにある。

1  左翼活動家であると思い込んでいる自分、又は他人よりそう思われて
  いる自分を、生活形態などを変えていくことに依って消していくこと。
  
  ① 居住地に於いて
    ◎ 居住地に於いて、極端な秘密主義、閉鎖主義は、かえって墓穴

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     を掘る結果となる。
  ◎ 表面上は、極く普通の生活人であることに徹すること。(そう
   思わせることだ。)
    ◎ 生活時間を、表面上市民社会の時限内に復すること。(特に、
     時間の転倒には気を付けなくてはならない。)
    ◎ 近所付き合いは、浅く、狭くが原則である。最低限、隣人との
     挨拶は不可欠である。
    ◎ 居住処としてのアパートや下宿等に、大勢の人間の出入りがや
     たらに目立ち、深夜、明け方に及ぶヒソヒソ話が続くことは止め
     なくてはならない。
    ◎ 居室に生活用品が全く無く、ポスター、ステッカー等が散乱、
     貼付してある状態は、絶対に止めなくてはならないし、形は整え
     なくてはならない。このことは、引っ越しの際など荷物が無いと
     大変目立つものだし、その事に依って人目を避け、コソコソと動
     き回る結果ともなる。
    ◎ 居室は常に整理し、清潔を保つこと。名簿、住所録、手紙、手
     帳などは常日ごろ整理し抜き、必要に応じて暗号化すること。不
     必要なもの、在ることのまずいものは他に移すか、廃棄、焼却す
     ること。

  ② 職場に於いて
    ◎ 職場の選択の際、何故そこを選ぶのか明確にしておくこと。
    ◎ 既に職場に居る場合は、同じく、何故現在この職場に居るのか
     を常に意識的にしておくこと。メンバーをオルグするためにか、
     その企業を内部から解体するためにか、ある特殊な技能、物資を
     得るためにか、単に生活費を稼ぎ出すためにか、それらのいずれ
     にせよはっきりさせること。無節操にあれもこれもと手を出すべ
     きではない。
    ◎ 別に明確な目的を持たずに現在の職場に就いている場合、組合
     などで極左的に、原則的にゴリ押ししないこと。経営者はすぐに
     タレ込みをする。
    ◎ 居住地、職場とも共通なことは、極端な秘密主義、閉鎖主義に
     陥らぬことと、左翼的粋がりを一切捨て去る、ということである。
     長髪で、ヒゲをたくわえ、米軍放出の戦闘服などを着た「武闘派」

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     がいるが、それは偽物であり、危険極まりない男であると判断す
     べきである。

2  ゲリラ兵士は、市民社会に自らの正体を知られてはならない。それは
  鉄則である。ところが、武闘派の諸君も、こと人間関係については全く
  無節操であり、下手である。今迄の武闘派の敗北の大半は、人間関係の
  失敗の結果といっても過言ではあるまい。

  ① 親、子、兄弟、妻、夫、友人などとの関係について
    ◎ 家族との関係をことさらに絶つ必要はない。ベタベタする必要
     は全くないが、ある日突然連絡を絶つことは、余程の事情がない
     限り止めた方がいい。突然関係を絶つことに依って、かえって身
     動きのとれなくなる場合も起こり得る。
    ◎ 家族を抱き込むか、関係を絶つかという二者択一はする必要が
     ない。「反戦・反安保」で共闘することとは根本的に異なるのだ
     から、全面的な交通を保つことはできないのだ。われわれにとっ
     ての全面的交通とは同志関係のことである。従って、極く普通の
     家族関係があればいいのだ。
    ◎ 市民社会での「友人」についても同様である。関係を絶つのが
     まずいのであれば、それをことさらにする必要はないが、われわ
     れにしてみれば、その関係の必然性もまた全くないのである。関
     係があるといっても、家族同様、自分の真の姿を見せてはならず、
     それには全くタッチしない関係でなくてはならない。その友人が
     将来同志として共に闘う友人であるのか、何故に現在関係を有し
     ているのか、厳密に検討すべきである。

  ② 合法的左翼との関係について
    ◎ 職場に於いて、学校に於いて、居住地に於いて、彼らとの関係
     は原則的に厳禁である。彼らの圧倒的大部分は、徹底的に質が悪
     い。口も尻も軽すぎて、全く信用できぬ代表的部分である。
    ◎ 彼らとの関係の中で、組織の拡大、強化などを考えるのは全く
     の幻想であるし、それを強行すれば、組織の解体にすらつながる
     ことになる。(ゲリラ兵士はオルグされて成長するものではない。)

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  ③ マスコミ・トップ屋との関係について
    ◎ マスコミ・トップ屋との関係は、一切合財止めるべきである。
     「赤衛軍」とかのドジ踏みの例を引用するまでもないであろう。
    ◎ マスコミは商品として売り出さんがために、闘いの本質を歪曲
     し、隠蔽し、自らの論理で粉飾して流通機構にのせる。(“狼”も
     コッテリと小ブル論理で粉飾された記事を書かれた経験がある。)
     それを意識的に日々遂行しているマスコミ関係者、評論家とか呼
     ばれる連中は、例えどれ程左翼的ポーズをとろうとも、それはポ
     ーズに過ぎない。奴らとの関係を持ってはならない。サツに売ら
     れて、奴らにしこたま稼がせる前に気付くことだ。

3 更にいくつかの基本的注意

    ◎ ゲリラ兵士は酒を飲まぬ。酒は平常心を失わせ、羽目をはずし、
     油断を生じ易くする。これは、ゲリラ兵士にとっての最大の敵で
     ある。特に、何人か集っての酒盛りは厳禁である。それは、合法
     左翼の専売特許であるべきだ。
    ◎ 喫茶店を使用するには、充分の配慮が要求される。特定の店を
     使用せぬこと。顔を覚えられてしまう。よく、団体で長時間、左
     翼系出版物を裸で携行し、ノートを広げて、学生活動か得意の用
     語を駆使して、口角泡を飛ばしているのに出っくわすが、あれは
     みっともないし、絶対にまずいので、われわれはそれをタブーと
     しなくてはならない。総じて、喫茶点の使用は注意すべきである。
     私服がゴロゴロしているし、過去、それに依って敗北した例も沢
     山あるのだから。
    ◎ 居室を製造所(工場)として使用する場合、深夜までキリキリ、
     ガリガリ隣り近所に聞こえる様な作業をしない様注意すること。
    ◎ 健康の維持は、ゲリラ兵士個々人の任務であり、責任を持たね
     ばならない。運動選手のような身体である必要は全くないが、闘
     いに要求される健康状態を常に保っていなければならない。肉体
     的消耗は、精神をも消耗させ、活動の停滞につながるものだ。日
     常的な点検と鍛練が必要である。

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 ゲリラ兵士は、同志以外との交通関係は極力少くし、市民社会に於いても
うまく立ち回って、自分の真の姿を見せないことが鉄則である。先にも触れ
たが、親、兄弟、妻、夫、子供、友人との関係に於いても、困難な問題を抱
えるであろうが 、原則は原則である。同志以外の人間に対する警戒と配慮は、
例え肉親であっても同様である。重大な決意を必要とするかもしれないが、
そこでもたついていてはゲリラ兵士にはなりきれない。
 われわれは、自分の姿勢、生活形態、目的意志を点検、確認し、交通関係
を整理し、自分の生活をすべて武装闘争に向けることに依って、最初の準備
をし終えることになる。

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