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椿事件 (つばきじけん)

椿事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

椿事件(つばきじけん)とは、1993年に発生した、テレビ朝日による放送法違反が疑われた事件である。

当時取締役報道局長であった椿貞良による、日本民間放送連盟の「放送番組調査会」の会合の中での発言に端を発したことからこの名で呼ばれる。

日本の放送史上で初めて、放送法違反による免許取消し処分が本格的に検討された事件であったとも言われる。

経過

  • 1993年7月18日 - 第40回衆議院議員総選挙自民党が解散前の議席数を維持したものの過半数を割り、非自民で構成される細川連立政権が誕生。自民党は結党以来初めて野党に転落。
  • 1993年9月21日 - 民間放送連盟の「放送番組調査会」の会合の中で、テレビ朝日報道局長の椿貞良が、選挙時の局の報道姿勢に関して「小沢一郎氏のけじめをことさらに追及する必要はない。今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」「共産党に意見表明の機会を与えることは、かえってフェアネスではない」との方針で局内をまとめたという趣旨の発言を行う。
  • 1993年10月13日 - 産経新聞朝刊一面で、上記発言を報道。各界に大きな波紋を広げる。郵政省放送行政局長の江川晃正は緊急記者会見で、放送法に違反する事実があれば、電波法第76条に基づく無線局運用停止もありうることを示唆。自民党・共産党は徹底追及の姿勢を明確にする。
  • 1993年10月25日 - 衆議院が椿貞良を証人喚問。椿は民放連会合での軽率な発言を陳謝したが、社内への報道内容の具体的な指示については否定した。一方で、放送法で禁止されている偏向報道を行った事実は認めた。
  • 1994年8月29日 - 内部調査の結果を郵政省に報告。報告書の中でもテレビ朝日は、特定の政党を支援する報道を行うための具体的な指示は出ていない旨を改めて強調。
  • 1994年9月2日 - 報告を受け郵政省は、テレビ朝日に対する免許取消し等の措置は見送り、「役職員の人事管理等を含む経営管理の面で問題があった」として厳重注意する旨の行政指導を行うにとどめた。
  • 1994年9月4日 - テレビ朝日が、一連の事件を整理した特別番組を放送。
  • 1998年 郵政省は、テレビ朝日への再免許の際、一連の事件を受け、政治的公平性に細心の注意を払うよう、条件を付した[1]

背景

所謂椿の意図は、上記にもあるように「何でもよいから共産党を排除した反自民の連立政権を成立させる」ことにあったことは言うまでもないが、当時の政局は必ずしも、反自民の連立政権が成立すると言い切れる状況では無かった。というのも、総選挙の結果判明直後から小沢が掲げた「細川護煕擁立論」が明るみに出るまで、日本新党の去就が定かではなかったからである。

総選挙で35議席を獲得した日本新党はいわば、キャスティング・ボートとしての存在でしかなかったわけである。自民党の出すカード次第、また小沢の連立政権構想の中に細川が無ければ、自民党と日本新党の連立政権が樹立する可能性も十二分にあった(過去には1983年に自民党が過半数ギリギリになった際、新自由クラブとの連立政権が樹立した例がある)。

これを踏まえると、椿の挙げた方針は半分の可能性に賭けた、いわば博打的なものだったと言えよう。

事件の影響

この事件を契機に、自民党内で放送番組への規制強化の声が高まり、また郵政省でも、問題のある放送番組の是正のあり方を議論するために「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」が開催され、後の放送倫理・番組向上機構が設立される契機となったとも言われる。

また、自民党とテレビ朝日の対立がこの事件で表面化したとの分析もなされる。この事件の後、第43回衆議院議員総選挙を控えた2003年11月ニュースステーションにおいて、「民主党菅直人の政権構想を過度に好意的に報道した」として自民党の安倍晋三幹事長(当時)が抗議するとともに所属議員のテレビ朝日への出演一斉拒否を決めたり、2004年7月第20回参議院議員通常選挙の際の選挙報道に対しても、自民党がテレビ朝日に文書で抗議する等、政治的公平性をめぐって両者の対立はしばしば再燃している。

ただし、テレビ朝日ないしANNが事件以来政府・与党に対して腰が引けるようになったとの指摘もある。

外部リンク

ttp://www.jca.apc.org/~altmedka/denpa-0-3-2.jpg

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