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氷雪の門 樺太 1945年 夏

椰子の實      島 崎  藤 村


名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の實一つ

故郷
(ふるさと)
の岸を離れて
(なれ)
はそも波に幾月

(もと)
の樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる

われもまた渚を枕
孤身
(ひとりみ)
の浮寢の旅ぞ

實をとりて胸にあつれば
(あらた)なり流離の憂(うれひ)


海の日の沈むを見れば
(たぎ)り落つ異郷の涙

思ひやる八重の汐々
(しほじほ)

いづれの日にか國に歸らむ

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