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【塩爺のもう一度よく聞いてください】

元財務相・塩川正十郎

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111209/lcl11120903290000-n1.htm

大阪復活への処方箋

 大阪府知事と大阪市長のダブル選で地域政党「大阪維新の会」が圧勝した。市長に就く前知事の橋下徹氏、知事の松井一郎氏を大阪人は歓迎した。特に橋下氏が市民に、「大阪をどないすんねん」という形で率直に問いかけた姿勢が評価された。

  維新の会が掲げる「大阪都構想」について、必ずしも多くの府民や市民は賛成ではないだろう。「他の候補者よりはマシや」という消極的な支持が多かったのか もしれないが、大阪市の放漫財政、行政の無駄遣い、サービスの欠如といった問題点を指摘したことが市民に受け入れられたことは間違いない。それほど市政へ の閉塞(へいそく)感が大きかったのだ。

 大阪は戦後、めざましく経済発展を遂げた。昭和45年には大阪万博が開かれ、大阪人は相当な気力を見せた。日本の経済力、技術力が著しく向上したのも、大阪を含む関西圏の牽引(けんいん)力があってこそだ。

 しかし、今は大阪から本社機能を東京に移す大企業は後を絶たず、潰れる中小企業も少なくない。生活保護の受給率も高い。これだけ大阪が疲弊したのは、自治体における政治指導力の欠陥が原因である。

  大阪府では、46年から共産党に推された知事が2期8年務め、その後は官僚出身者や芸能人が続き、政治家としての強力な魅力がなかった。大阪市では40年 代頃から革新市政が続き、市長の座を確保しようとする労働組合の影響力が強かった。市長も労組に協力し、職員給与は全国的に見ても優遇されている。

  その結果、行政改革が一向に進まず、放漫財政が続き、給与水準でも職員数でも効率化が滞った。人口約267万人の大阪市の職員数は約3万8千人。人口約 369万人の横浜市の職員数は約2万6500人だから、大阪市民1人当たりの職員数は横浜市の2倍だ。市職員が既得権益を守り、民間の活力を引き出せな かったことが今の大阪の停滞を招いているといえないだろうか。

 維新の会の大勝は、有権者がいかに「役所の改革」を求めていたかを表している。橋下氏らは構造改革を進めるため、府と市の一本化による二重投資の一掃を図る「大阪都構想」を提唱している。実に壮大な構想だが、実現はそう簡単ではない。

 橋下氏が市の24区長を庁内外から公募すると報じられている。私としては、それよりもまず大阪市の24区を8区に集約することに着手するよう提案したい。

 都構想も8~9の特別自治区に再編するというが、法改正に時間がかかる。それならば、今すぐに市が区役所の集約を図り、計1万人くらいの職員数削減を目指すべきだ。1区当たりの住民数が10万人程度というのは細分化されすぎていて、行政の効率が悪くなるからだ。

  私は昭和39年から42年にかけて旧布施市の助役と3市(旧布施、河内、枚岡)合併事務局長として現在の大阪府東大阪市を発足させる仕事に携わったが、3 市を合併させるだけでも、病院を建てる場所をどこにするかなど各市の調整は難しかった。総論に賛成でも、各論に入ると強い反対が出るのは世の常だ。

 橋下氏が大阪を立て直せるかは、国の構造改革にも大きな影響を与えるだろう。まずは、元気な関西、大阪を作るために努力してほしい。(しおかわ まさじゅうろう)

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