衛生博覧会だったのか???
日医の倫理懇が見解 2012.3.7 23:54 日本医師会は7日、人体を特殊処理した標本を有料展示する「人体の不思議展」について「遺体の扱いにおいて人の尊厳に反し、倫理的に認められない」とする生命倫理懇談会(座長・高久史麿日本医学会長)の見解を発表した。 見解は、死後の人体の扱いについて「尊厳を冒すのはどのような場合か明確なルールを定める新たな立法を考える必要がある」とし、医師会として医師や医学生に人体展の営業にかかわらないよう求めることを訴えた。 展示は平成に入り、各地で開かれ、一時は地元医師会が後援。しかし遺体を興味本位の見せ物にしているとの批判も浮上。京都と石川では医療団体などが主催者側を刑事告発したが、いずれも嫌疑不十分で不起訴処分となった。 「人体の不思議展」主催団体が東大に8400万円寄付 2012.2.16 13:23 (1/2ページ) 主催者、医学界の権威ねらう? 生命倫理の観点から問題が多いと指摘される「人体の不思議展」をめぐり、同展の主催団体が平成17年までの2年間に、計8400万円を東京大学に寄付していたことが15日、産経新聞の取材で分かった。同展は当時、東大出身の著名な医学者らが監修にかかわっており、主催団体が医学界の権威を利用することで、同展への信頼を高めようとしたとみられる。 同展をめぐっては、厚生労働省が昨年1月、人体標本は「遺体」との見解を示し、主催者側による遺体の商業的利用に批判が高まった。京都市で平成22年12月~23年1月に同展が開催されたことをめぐり、市民グループらが開催中止を求めて刑事告発、2月に受理されたが、立件は見送られ不起訴となった。 関係者によると、寄付していたのは同展を主催した日本アナトミー研究所。現在は社名が変わり、東京都港区に事務所がある。民間信用調査会社によると、同社は平成13年9月に設立、昨年1月期の売上高は約4億3千万円。 東大への寄付は、16年10月に400万円、17年1月に5千万円、同年8月に3千万円。いずれも研究奨励を目的に民間企業や個人が大学に寄付にする「奨学寄付金」で、東大側は教授会などで審査し受け取りを決定、3件とも当時の総長名で領収書を発行した。 死刑も?「標本」は中国の受刑者の遺体 同展は当時、日本医学会会長らが監修委員長を務め、高久史麿・東大名誉教授や養老孟司・東大名誉教授らも監修委員として名を連ねるなど、事実上医学界が後押しする形になっていた。ただ同展への批判が高まった19年以降、医学団体は後援から外れている。 東大広報課は「個々の件について、公表事項以外に答えることはできないが、関係規則に基づき適正に受け入れ、執行した」と説明。主催団体側にも文書で取材を申し入れたが、回答はなかった。 同展をめぐる問題に詳しい福島県立医大の末永恵子講師は「医学界の協力については、市民から疑問の声が上がっていたが、その声は無視されてきた。今回、医学界がなぜ同展に協力を続けたのか、理由の一端が見えてきた。寄付を受けた研究者にも、倫理的責任が問われる」と話している。 「反対したが…頼まれたから引き受けた」養老孟司・東大名誉教授 「人体の不思議展」、中国から標本 2012.2.16 22:32 日本とは倫理観がまったく異なる中国から標本を借りてくると聞き、自分は反対した」。監修委員を務めた養老氏は、主催者側への憤りをあらわにした。 養老氏は平成7年に初めて日本で開催した同展の中心メンバー。このときは同氏が自費でドイツから標本を輸入したが、このころから、親族の知人で日本アナトミー研究所(当時)のスタッフだった男性が間に入るようになったという。 同氏によれば、男性とドイツ人研究者との間で契約トラブルが起こり、同展はいったん中止に追い込まれたが、男性はその後中国から標本を輸入、14年以降は同社主催の形で再開した。 養老氏は中国からの輸入標本の展示に強く反対し、運営からも手を引いたが、18年ごろまで監修委員として名前を連ねている。 「イベントの会場確保などで助けてもらったことがあり、彼に強く頼まれたから監修委員を引き受けた。もちろん、金なんかもらっていない」 中国の輸入標本を使ったイベントは当初、日本赤十字社や日本医学会なども後援した。ところが、高額の入場料や関連グッズの販売など興行的手法に対する主催者側への批判が大きくなるにつれ、後援を取り下げる団体も相次いだという。 一連の経緯について、日本医学会会長の高久氏は「同展を後援したことに対する非難の電話が頻繁にあり、情報収集したところ、標本の多くは中国の受刑者で、国際法に準拠した契約でないことが分かり、監修者及び後援を取り下げた」と文書で回答した。
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