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カレー臭さん

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120406/trd12040603050002-n1.htm
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哲学者・適菜収 「B層」グルメに群がる人
先日国内最大規模のグルメサイト「食べログ」で、ランキングの不正操作が明らかになった。複数の業者が特定の飲食店に対し好意的な口コミを投稿して報酬を得ていたのだ。
 こうした消費者に宣伝と気づかれないような宣伝行為を「ステルスマーケティング」という。
 これに対し「消費者の信頼を裏切るあるまじき行為だ」などと批判の声が上がったが、ナイーブにすぎるのではないか。わざわざ業者に依頼しなくても、店の関係者が自作自演でランキングを吊(つ)り上げているケースもある。その結果、地元住民が首を傾(かし)げるような店に、ある日突然行列ができたりする。インターネットの構造上、こうした問題は常に起こりうるはずだ。
 しかしもっと大きな前提がある。それは、口コミサイトの評価は「料理について細かい論評を述べたい人たち」「携帯電話で料理の写真を撮ることをためらわない人たち」が下した判断にすぎないということだ。
 スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセット(1883~1955年)は、大衆を「凡庸であることを自覚しつつ、凡庸たることの権利を主張」し、圧倒的な自信の下、浅薄な価値観を社会に押し付けようとする存在と規定した。彼らは「コストパフォーマンス」といった一面的な基準を振り回し、一流の店を貶(おとし)め、三流の店を持ち上げる。その結果、きちんとプロの仕事をする鮨(すし)屋が低い点数をつけられ、ロクでもない鮨屋(その実態は単なる海鮮居酒屋)が高得点をとるようになってきた。
こうした状況の中、隆盛を極めているのが《B層グルメ》である。《B層》とは、平成17年の郵政選挙の際、内閣府から依頼された広告会社が作った概念で「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」を指す。彼らがこよなく愛し、行列をつくる店が《B層グルメ》だ。

 いわゆる《B級グルメ》が「安くて旨(うま)いもの」であるのに対し、《B層グルメ》は必ずしも安いわけでも旨いわけでもない。しかし、《B層》は誘蛾灯(ゆうがとう)のように引き寄せられていく。なぜなら《B層グルメ》は、行動心理学から動物学まで最新の知見を駆使し、《B層》の趣味嗜好(しこう)・行動パターンを分析した上でつくられているからだ。店の立地、席の配置、照明の角度がマーケティングにより決定され、さらに「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といった《B層》の琴線に触れるキーワードが組み合わされていく。こうして、日本全国、駅前からデパートのグルメアーケードまで、同じようなチェーン店が立ち並ぶようになってしまった。「豚骨と鶏ガラ、魚介、30種類の野菜を3日間煮込んでスープをつくりました」みたいな闇鍋系ラーメン屋もこれにあたる。鍋に水と材料を入れただけなのに、「これが私の作品です」と一端(いっぱし)の料理人のような顔をしている素人が増えている。
これはグルメだけの話ではない。社会全体にB層的価値観が蔓延(まんえん)し、それを資本が増幅させている。その結果、一流と三流、玄人と素人、あらゆる境界が失われてしまった。こうした社会では素人が暴走する。《B層グルメ》に行列をつくるような人々が「行列ができるタレント弁護士」を政界に送り込んだのもその一例ではないか。(てきな おさむ)

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