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ミクシィ、身売りを検討 突然の不自然な経営体制刷新

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120514/232015/index2.html
ミクシィ、身売りを検討
突然の不自然な経営体制刷新

日本のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)業界を牽引してきたミクシィが身売りを検討していることが明らかになった。社長の笠原健治氏が保有する約55%の株式について、売却に向けた交渉への参加を複数の企業に打診し始めた。近く行われる入札にはグリーやDeNA(ディー・エヌ・エー)といった競合他社などが参加する見通しだ。

 ある金融筋は「今春、ミクシィから競合他社に株式売却の話が持ち込まれた」と証言する。笠原社長の意を受けた証券会社が株式の売却を持ちかけたといい、「第一段階では笠原社長の保有株式の一部を譲渡して資本提携し、その後、将来的に全株式を放出する案が示された」と続ける。

 ミクシィが身売りを検討するのは、今回が初めてではない。過去に一度、ヤフーとの間で資本提携が実現まであと一歩のところまで進んだことがある。両社の交渉は2011年2月末にプレスリリースを配信する直前まで進んだが、最終局面で条件が折り合わず結局、白紙に戻ってしまったという経緯がある。

 ミクシィがSNSを開始したのは2004年2月。当初は同時期にサービスを開始したグリーに比べて圧倒的に多くの会員を獲得し、日本のSNS業界を牽引してきた。しかしその後、携帯電話に主軸を置き、ソーシャルゲームを事業の中心に据えたグリーとDeNAが急成長。一方、リーマンショックの影響やスマートフォンの台頭で、収益の大半をパソコンや携帯電話の広告に依存してきたミクシィの業績は低迷を続けた。

 2011年11月には方針転換を決意し、従来から提供していたSNS上のアプリのうち、ゲームのみを集約した「ミクシィゲーム」を新設。他社に比べて出遅れていたソーシャルゲーム分野のテコ入れによって、広告モデルから課金収入モデルへのシフトを加速させている。

 だが、グリーやDeNAに比べると業績の差は歴然としている。ミクシィの2012年3月期の売上高は前年同期比横ばいの133億3400万円。営業利益は同34.9%減の21億9400万円に落ち込み、純利益は7億4900万円と同45.8%減少した。

 ミクシィへの資本参加に関心を示している1社と見られるDeNAの2012年3月期の売上高は1457億2900万円と、前年同期比29.3%増加した。純利益は同9.1%増の344億8500万円。同じく売却交渉に参加すると見られるグリーの2012年6月期の連結業績予想は売上高が1600億~1700億円、純利益は440億~500億円。こちらは前年度比2倍超の成長を見込む。

 成長力の差は3社の時価総額に端的に表れている。ピーク時の2007年秋に約3000億円に達したミクシィの時価総額は約250億円にまで減少(5月14日時点)。DeNA(時価総額約3000億円)やグリー(同約3400億円)とは10倍以上の開きがある。
フェイスブック台頭で窮地

 ミクシィが窮地に立たされた一番の理由は、世界最大手のSNSである米フェイスブックの国内市場での台頭だ。現在全世界で9億人を超すユーザーを持つ米フェイスブックだが、本格的な日本市場開拓は2010年から。完全実名によるSNS利用を推進するフェイスブックの存在は、ソーシャルゲームと一線を画してきたミクシィの独自性を奪い去った。
グリーやDeNAはゲームを通じて利用者同士がつながるが、ミクシィは知人や友人同士が現実でつながることを推し進めてライバルと差異化を図ってきた。そこに実名での利用を前提とするフェイスブックが本格参入してきたことで、ミクシィの立ち位置が不明瞭になり、利用者の多くがフェイスブックへと流れる結果となった。

 ミクシィも無策だったわけではない。2011年8月にはフェイスブックが提供していた企業や団体が無料でマーケティングに利用できる「フェイスブックページ」に対抗し、「ミクシィページ」を開始。また、「タウン構想」を発表し、コミュニケーションの場をプライベート空間とそれ以外に分ける「ホーム・タウン構想」を掲げるなど、懸命にフェイスブックとの違いを打ち出してきた。

 しかし、ミクシィが圧倒的な開発力を持つフェイスブックと対峙していくのはそもそも無理がある。IPO(新規株式公開)で巨額の資金調達を予定しているフェイスブックが今後、日本市場への攻勢を強めてくるのは確実で、単独での生き残りはますます難しくなる見込み。今回の株式売却交渉は、同業他社との連携に活路を求める動きと言える。
揺れるSNS業界

 消費者庁が「コンプリートガチャ」と呼ばれるソーシャルゲーム内の課金システムの規制に乗り出す方針であることが報じられ、SNS各社の株価が軒並み急落した連休明け。コンプガチャの扱いを巡るSNS各社の経営トップの発言に注目が集まる中、ミクシィは5月11日、2012年3月期の決算発表に合わせて経営体制の刷新を発表した。

 ただ内容は「突然で、不自然としか思えない」(SNS業界関係者)ものだった。これまで笠原社長とともにミクシィを率いていた原田明典副社長が取締役に降格したほか、経営管理を担当してきた小泉文明取締役が役員から退き、顧問に就任する内容だったためだ。

 ミクシィは「笠原社長に権限を集中させ、意志決定を迅速にするためだ」と説明するが、当の笠原社長は決算発表会の席上で、「原田氏には今後も施策などのアドバイスをいただく」「引き続きいくつかの案件を担当してもらう予定」など、つじつまの合わない説明を繰り返した。

 突然の経営体制刷新を身売りに向けた地ならしと見る向きがある一方、経営幹部の降格や退任を受け、証券業界では「ミクシィ社内が混乱状態にあるのではないか」と指摘する声もある。もしこれが真実なら、身売りを含めた同社の行方はさらに不透明なものになる。

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