非常識写真、相次ぐツイッター投稿 ウケ狙い過激化 稚拙な悪ふざけ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130825/crm13082509050001-n1.htm
非常識写真、相次ぐツイッター投稿 ウケ狙い過激化 稚拙な悪ふざけ
アイスクリームの冷凍ケースに入り、ピザ生地で顔面を覆う-。コンビニエンスストアや飲食店のアルバイト従業員によるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への非常識写真の投稿が止まらない。アルバイトに損害賠償請求を検討する動きも出てきた。投稿者自身も勤務先を解雇され、インターネット上で個人情報が丸裸に。なぜ、代償に気づかないまま「悪ふざけ」に走るのか。(松岡朋枝)
バックヤード系
「ニュースを見ていなかったので、ツイッターの投稿が騒動になっていることは知らなかった」
今月18日にピザ生地で顔を覆った写真をツイッターに投稿し、《ピザって息できないんだな》とつぶやいた宅配ピザ店の男性アルバイトは、運営会社の事情聴取にこう答えた。
男性が写真を投稿する1カ月前の7月15日。コンビニ大手「ローソン」が、男性アルバイトが店内のアイスクリームの冷凍ケースに入った写真をフェイスブックに公開されたことを公表し、謝罪した。問題のあった店は同日休業した。
《今日暑くね?》と店の冷蔵庫に入った男性や、冷凍ソーセージをくわえてウインクする女性。厨房(ちゅうぼう)などで撮影されたこうした写真は「バックヤード(売り場の裏側)系」と呼ばれ、ローソンの公表が呼び水となり、相次いで発覚した。
これらの画像の半数は、ローソン公表前に投稿されていたのを、ネット利用者が“発掘”したものだが、騒動後に投稿されたケースもある。ネット上には「なぜ学習しない?」との指摘が相次いだ。
迷惑意識はなし
「内輪で盛り上がっているだけで周囲に迷惑をかけている意識がない。『どうして非難されるの?』という気持ちなのだろう」。博報堂生活総合研究所の酒井崇匡(たかまさ)主任研究員(31)は若者の心境を分析する。
酒井氏によると、若年層はネット上でも現実の関係を求める傾向が強く、ツイッターで小人数のグループを作る。そして、「沈黙を嫌い、会話を途切れさせないためにそれぞれが『何かおもしろいこと(ネタ)』を提供する。自分たちでネタを作って笑い合う閉じたコミュニケーション」に没頭し、周囲への影響に気がつかないまま、ウケ狙いの過激な投稿に走るようだ。
しかも、ニュース情報などを元に不特定多数が意見を交わす「2ちゃんねる」などのメーンユーザーである30代後半から40代と対照的に、若年層はネット活用能力が稚拙だ。
こうして投稿された非常識写真を、2ちゃんねる利用者らがたちどころに発見、「特定班」と呼ばれる人が、画像を手がかりに投稿者を特定し、店舗に報告。ネット上には投稿者の名前が拡散する。ある男性アルバイトは事態発覚後、運営会社にこう話した。「まさか、名前まで特定されると思わなかった」
「新たなリスク」
企業側は新たな動きを起こしている。SNSのリスク管理に詳しいニューメディアリスク協会(東京都)にはローソンの公表直後から、アルバイトのSNS利用をめぐる企業の相談が急増。協会事務局の栗山知之さん(25)は「企業が新しいリスクとして認識し始めた」と指摘する。
問題化する投稿の大半は食品にからむ。「食の安心・安全」の意識を強める消費者がこうした行為に嫌悪感を募らせていることもあり、企業がイメージダウンを余儀なくされれば、「悪ふざけ」では片付けられない。職場への携帯電話持ち込みを禁じたり、監視カメラの設置を検討したりする企業も出てきた。
現実的には個人利用のツイッターを全面禁止するのは難しく、外食チェーンの担当者は「非常識な行為をしないというモラルの問題に立ち返り、周知徹底するしかない」と話した。
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