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ホンカツかと思った

本紙前号で報じた籾井勝人NHK新会長の発言は、「軍隊慰安婦」を「どこにでもあったこと」として
正当化しただけにとどまらず、安倍政権の憲法改悪を見据えた極右ナショナリズムの政治戦略全体に
同調しない主張をマスメディアから排除しようとするものである。

 籾井は、「NHKのボルト、ナットを締めなおす」と述べ、彼が「偏向」と見なした放送内容を認めない、
との姿勢を打ち出した。「政府が右、と言うことを左と言うわけにはいかない」「(安倍首相の靖国参拝は)
総理が信念で行かれたということで、いいじゃないか。淡々と総理は靖国に参拝されました、でピリオドだろう」
「(特定秘密保護法は)通っちゃったんで、言ってもしょうがないのではないかと思う」――記者会見における
この一連の発言は、NHKが政府「広報機関」の色彩をさらに強め、公共放送としての批判的役割を否定する
宣言である。

繰り返される挑発的暴言
 安倍首相のNHK経営委員会の人事は、とりわけ昨年七月の参院選以後に選任されたメンバー四人
(全一二人中)を取ってみれば、札付きの安倍応援団抜擢以外の何ものでもない。その四人とは、百田尚樹、
本田勝彦、長谷川三千子、中島尚正の四人。

 百田は、ベストセラーとなった小説『永遠のゼロ』『海賊と呼ばれた男』などの著者で「2012年安倍晋三
総理大臣を求める民間人有志の会」メンバー。本田はJT顧問で安倍の元家庭教師で首相を囲む経済人の
集まり「四季の会」メンバー。長谷川は埼玉大名誉教授の哲学者・思想史家で、百田と同じく「安倍晋三総理大臣を
求める民間人有志の会」メンバー。中島は海陽中等教育学校長。同校の副理事長を務めるのは前述「四季の会」
メンバーでJR東海会長の葛西敬之である。

 東京都知事選で田母神候補の宣伝カーに同乗した百田は「東京裁判は米軍による大虐殺をごまかすための
裁判」であり、「南京大虐殺が取り上げられたのは米軍が自分たちの罪を相殺するため」と語り、田母神候補以外の
都知事候補は「人間の屑」と罵倒した。百田は、ツイッターなどで「籾井発言」に批判的な経営委員を摘発し、
攻撃にさらすことを公言している。

長谷川は、一九九三年一〇月、朝日新聞社に乗りこんで「すめらみこと いやさか」と唱えて拳銃自殺した
右翼活動家・野村秋介の死後二〇年にあたっての文集に追悼文を送った。彼女はその中で野村秋介は
「神にその死をささげた」と語り、次のように書いた。

 「『すめらみこと いやさか』と彼が三回唱えたとき、彼がそこに呼びだしたのは、日本の神々の遠い子孫で
あられると同時に、自らも現御神(あきつみかみ)であられる天皇陛下であった。そしてそのとき、たとへその
一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび
現御神となられたのである」(旧かな遣いは原文のまま)。

 まさに「神がかり」の天皇主義者である。菅官房長官は長谷川をNHK経営委員に推薦した政府の判断について
「わが国を代表する哲学者、評論家として活躍しており、わが国の文化にも精通している」と正当化した。

 NHKの経営委員会は、こうした極右主義者の巣窟となった。かれらは「安倍応援団」としてNHKの番組内容に
介入し、「国益に反する」と判断した企画を妨害し、差し止める役割を果たすことになるだろう。
安倍首相は何をやってきたか

 われわれはここで、改めて二〇〇〇年一二月に行われた女性国際戦犯法廷についてのNHK番組の放映に、
当時官房副長官だった安倍晋三や故中川昭一が強力な圧力をかけ、その圧力に屈したNHK側が番組の内容を
全面的に改ざんした事実を思い起こす必要がある。二〇〇七年一月二九日、VAWW―NETジャパンが原告
として起こしたNHK番組改変裁判の東京高裁控訴審判決は、NHKの幹部が右翼の攻撃に神経を尖らせ、
国会議員(安倍晋三や中川昭一)との接触で「相手方の発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度して
できるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、その結果、直接指示、修正を繰り返して
改編が行われた」ことを認めた(本紙2007年2月12日号1~2面、佐藤隆論文)。

 NHKの屈服に続き、この問題を取り上げて報じた朝日新聞も自民党や右派メディアからの執拗な攻撃によって
屈服することになった(朝日の屈服の経過は、本紙2006年2月6日号、佐藤隆「『不祥事たたき』とメディア支配 
NHK番組改ざんと朝日新聞の屈服」参照)。

 そして今、安倍政権は、時の政府に不都合なテレビ報道への政治的圧力によってその「偏向」を「是正」する
という段階から、経営委員会に送り込んだ政府別働隊(お友達集団)を通して報道そのものを支配しようとする
ところにまで進んでいる。「特定秘密保護法」と今回のNHK人事は、まさに一体のものである。しかもその
イデオロギー的内容は、あまりにも幼稚きわまる挑発的「復古の調べ」であり、それは必ずや、アジア諸国や
米国との間に深刻な矛盾を引き起こす要因となるだろう。しかしわれわれは「外圧」に頼ることはできない。

 NHK問題は、安倍政権の「余裕のなさ」の表現であるが、同時にそれは籾井、百田、長谷川らの極右思想が
横行する社会的・政治的危機の情勢に立ち向かう運動の重要性を突きつけている。        (純)

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